足立病院では全自動化学発光酵素免疫測定装置Access2を用いて、FSH、LH、E2、甲状腺関連などのホルモンや風疹IgG抗体などとともに、現在はAMHも測定している。AMH測定の実際について、培養室胚培養士長の小濵氏に聞いた。
アクセスAMH(研究用試薬)が登場する以前は、その他のホルモンとは別途でAMHだけ外部検査機関に測定を依頼していたが、アクセスAMH導入により2014年からは院内で測定している。1検体でまとめてAMHも測定できるようになり、余分な手間がかからず効率的に検査が行えるようになったと小濵氏は語る。AMH値は40分程度で結果が出るため、結果を当日中に医師を通じて患者に伝えることができる点がメリットだという。
現在、AMHの検査件数は月100件を超えており、今後も増えていくと小濵氏は予想している。同一検体を何回か測定しても結果値に大きな誤差はないことを足立病院では確認していて、再現性は良好であり、また、以前のAMH測定試薬では感度以下が「0.1以下」としか表示されなかったが、アクセスAMHではより低値の数値が検出されるようになったと小濵氏は語る。さらに、アクセスAMHは他のアクセス試薬と同様に、測定に必要な試薬がひとつの試薬カートリッジに装填されており、Access2に搭載するだけで、自動測定される。そのため、検査を行うスタッフの技量に測定結果値が左右されることがない点も日々の業務改善につながっている。
実際の診療では、患者が体外受精や凍結胚移植を決断した後、ホルモン値の測定結果を胚培養士がチェックし、その結果を参考にしながら医師と実施日を相談するなどしている。AMH値も院内測定になり、胚培養士がチェックできるようになったことで、不妊治療における誘発方法など迅速かつ綿密な治療計画立案の一助となる可能性を感じている、と小濵氏は語った。